建築概要
歴史的背景を感じさせる街並みや通り形成に特徴のある地域で、隣家が近接して建ち並ぶ住宅地である。北と西が道路に面する「角地」で、住宅密集地であるものの、視線や風の抜けを確保できるポテンシャルの高い敷地であった。全体の高さや軒先を抑えて、街に対して威張ることなく、街並みに優しく準えるような外観とした。道路境界を完全に閉ざさず、後退して部分的に通りに解放して建てることで懐の広さを感じさせる佇まいとなった。プライバシーや防犯性は格子戸を設けることで確保している。南北に長い縦長の敷地形状を味方につけ、採光と採風を得るための中庭があるコートハウスとした。中庭を通して、リビングやダイニング、キッチンからも視線が抜け、広さを感じられるようになった。雨に濡れない車の乗り降りを可能にするカーポートや、収納量が充分な階段室周りに造り付けたシューズクロークは、家族のスムーズな帰宅・外出動線を確保した。階段の踊り場にランドリースペースを設け、洗濯〜物干し〜仕舞う家事動線も明確にした。大谷石の壁は、ホールとリビングが連続感のあるインテリアとして、エクステリアのポイントに交差点の斜向かいに建つ大谷石の蔵に呼応させるように採用した。