ノープランの旅

気が付けば今年も10月になっています。長かった暑い暑い夏、毎年のように気温は過去最高の記録更新を続けているようですが、このままで地球は大丈夫なのでしょうか。

夏の終わりにふらりとノープランの旅に出かけました。立ち寄るところを決めないで出かけましたが、今や便利なネット情報を頼りに、思い立ったら直ぐの少々の時間でも有意義な旅になるものですね。村野藤吾さんの小諸市立小山敬三美術館、至る所に繊細な気遣いがあり千曲川の眺め、展示室内でも傾斜を感じながら作品を堪能する、小さなスケールの中に見所が多く良い美術館でした。

そして、来ることできて最も意義のあったのが「戦没画学生慰霊美術館 無言館」。走行中の車の中、タブレットでGoogleマップを追っていると、近くを走っていることに気が付けました。閉館時間も迫ってきていましたが、間に合って入館することができました。十字の明解なプランの展示室、他に来館者がいなかったこともあり静かな空間に沢山の作品が展示されていました。作品は長い年月を経ていることも解るのですが、それは初々しさに満ち溢れていました。若くして戦地へ向かわなければならなかった学生達の作品。作者名、プロフィール、家族のコメントなどを作品と合わせて読んで観て回りました。東京美術学校(現 東京藝術大学)の学生など、プロフィールには建築科と記された学生の作品もありました。戦争さえなければ、生きて第一線で活躍をしたであろう若者たち。家族との何気ない幸せな日常も送ることができたことでしょう。一人ひとりのその後の人生が絶たれてしまった無念を思うと、十字の静かな美術館の中、あまりの悔しさで声を上げて泣いてしまいそうになるのを堪えるので精一杯でした。

美術館を出た時には「本日は閉館しました」の札が出ていました。

ふらり信州の旅は、何度か訪れている谷口吉生さんの「東山魁夷館」も再訪。

隣接する、長野県立美術館は新しく建て替えられて初となります。

東山魁夷館と繋がる連絡通路から見える外のテラスには、ちょうどミストが現れました。夏も終わりというのに暑かったこの日、涼しい雰囲気に満たされ通路でしばしの休息。

東山魁夷の作品の「朝霧」が再現されて動き出したかのような演出、プロローグなのかエピローグなのか、どちらを先に観覧してこの連絡ブリッジを渡るのか?心に涼やかな反復を感じました。

その他、歴史的建築や木造の現代建築、街並みを見たりとふらり旅でも充実のひと時を過ごしてまいりました。やはり旅には出るものです。(あ)

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